入社が決まって初めて、自分は何をするのかが気になり、求人情報を見返すと、そこに「営業補助」というワードがあることに気づいた。性格的に「営業」は向いていないと思っていたが、「補助」ということはサポートだから付いていけば何とかなるんだろうと簡単に考えていた。
何を営業していたのかというと、外資系生保会社の「がん保険」だった。当時で、若年層なら1口数百円、高齢層でも1口数千円程度で加入できる保険だった。どこで営業していたのかというと、主に市町村役場などの官公庁だった。1つの官公庁で20名以上の加入者を集めると「団体扱い」で、保険料は割安になり、給与天引きができるため、加入していることすら忘れてしまう感覚がウリだった。
ただ、市町村役場のような公務員対象のマーケットには、既に団体が出来ている場合が多く、既設団体への営業はその団体を設置した主管代理店が担当し、勝手には営業活動ができないルールだった。そのため、団体がまだ出来ていない官公庁を探し、団体を設置して主管代理店になり、その後定期的な営業活動を出来るようにする必要があったのだ。
そこで、近隣府県の市町村役場に団体の有無を調査していくと、都会にある市役所などではほとんど団体が設置されているが、農村部にある町村役場などではあまり団体が設置されていない傾向があった。当たり前ですが、市役所規模になると職員が数百人居るため、その中で20人以上の団体を設置するのはそれほど困難ではありません。反対に、町村役場の場合は職員が数十人程度で、大半の職員に加入してもらわないと団体が設置できないため、ハードルが高いのだ。