来る日も来る日も早朝に大阪を出発し、田舎の役場出先でアポイントをとり、庁舎の昼休みに募集を行い、昼過ぎに幼稚園、夕方に小中学校の給食控室にお邪魔して簡易説明会というパターンを柱に、必死に加入者を集めていると徐々に団体を設置することができた。小さな役場では、毎日出入りしていると、こちらが何者かはバレバレで、目が合っただけで相手のご意向が何となくわかるようになってくるのだ。目は口ほどにモノを言う、とはよくできた言葉だと実感した。
兎に角、1件でもご契約をいただけると、それ以降は気分よく過ごせますし、その後がゼロでもそれほど気にはならないが、昼休みがゼロ、昼過ぎの幼稚園もゼロと、ゼロが続くと夕方の給食控室への足取りまで重く感じてしまうものだ。営業補助見習いとは言え、やはり数字が上がれば嬉しいし、数字が上がらないと全くテンションが上がらず、自分は人から認められないダメな奴なんだと、ついつい考えがちになるのだ。選択権は相手にあって、相手のニーズに合うかどうかは相手次第であるにも関わらず、自分の力が及ばず自分に非があると思ってしまうものだ。
1口数百円のために、足しげく通い、断られても逃げられても、人数が集まらないことには団体設置ができず、団体設置ができないと団体割引保険料の適用ができず、給与からの天引きもできないため、折角ご契約いただいた方にご迷惑がかかることもあり必死だった。あと1人足りないという時に、総務の給与天引きの担当者が、仕方がないからと人情でご契約して下さったこともあった。
外資系の保険は、GNP戦略(義理と人情とプレゼントで契約をいただくこと)とは無縁であると、高を括っていたものの、結局はプレゼント以外の義理や人情に触れて、何とか団体設置をすることができたこともあった。やはり営業の仕事にとっては、ご契約いただくこと、数字で結果が出ることで全てが報われると言っても過言ではないほど、嬉しいものだということを痛感し、徐々に営業の仕事の大変さと面白さを感じるバランスに変化が生じてきたのだ。