それまで第3分野(医療保険やがん保険)の商品だけを取り扱っていたこともあり、それ以外の商品に興味を持つ事はほとんどなく、ただ闇雲に目の前のお客様に自分が取り扱える商品だけをお勧めしてきたのだ。もしかしたら、熱意だけで押し付けていたかも知れなかった。勿論、加入したことで実際保険給付金を受け取る場面に遭遇した方にはお役に立てたのも事実だが、それまで単品の知識だけで営業をしてきたことは、お客様に選択肢を提供できていなかったということだ。ただ、高齢者マーケットにおいては、既に加入済みの保険に無いスキマ部分だけを保障する商品を提供する目的においては、支障が全くなかっただけだ。

この世界に入る迄に個人的に保険に加入していたのは、自賠責と自動車保険、県民共済ぐらいだった。入った後は、自分が取り扱っていた第3分野のがん保険、医療保険に加入したぐらいだ。つまり、一般的な生命保険には加入してこなかったし、興味もなかったのだ。独身だったからでもあるが、結婚してからも共働きを続けていたため、あまりピンときていなかったのだ。ただ、いつまでも目を逸らしているのも保険のプロとしては失格の烙印を付けられるだけだ。そこで遅ればせながら、ようやく第3分野以外のことを知る努力とともに、お客様から既に加入している保険証券を見せてもらえるような接し方を意識し出した。

いわゆる証券分析をさせてもらえるようにするために、保障が重複すると無駄な保険料を払うことになり勿体ないからと、トータルで無理、無駄のない保障設計が家計の改善にもつながるという事をアピールするようにした。すると、まだ知識が浅いながらも証券分析をしていると、ほぼ同じパターンの保険商品に入っていることが明らかになった。それは、終身保険という一生涯の死亡保障をベースにして、上乗せで定期保険という一定期間の死亡保障を付けるというものだ。大体終身で150~300万円の保障を土台として、上乗せに10年定期や60歳満期で2,000~4,000万円の保障と医療特約で入院日額3,000~5,000円の保障を付けるパターンが多かった。

妻子がいる世帯主にとっては、自分に万一のことがあると残された家族を路頭に迷わせる訳には行かないという不安があるのは当然だが、そこをうまく取り込んだ商品設計になっていたのだ。しかしながら、日本においては公的保障制度が充実していて、健康保険や年金保険など、病気やケガ、障害、死亡というリスクを軽減させるための公的扶助、助け合いの仕組みが整備されていて、いざという時に遭遇したとしても、路頭に迷うことはほとんどないと言っても過言ではないのだ。つまり、公的保障をベースに最低限の保障はあるものと考え、それ以上の不安が想定される部分だけを私的保障で備えればいいのだ。となると、今度は公的保障のことをもっと深く知っておく必要性に直面することになったのだ。

By hb

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