あえて一言で言うならば、顧客と売り手との情報格差が余りにも大きかったという事だ。圧倒的に売り手側に情報量があり、それらを開示して一つ一つ顧客に丁寧に説明すれば全く問題なかったのだが、当時の保険屋さんにはそういう方が少なかったのかも知れいない。自分もその一端だったと思う。どうしても営業成績や会社の利益の事が頭にチラつくと、加入してもらうしかない気がしてしまうものなのだ。そうすると、どうすれば加入してもらえるのかを主体に考え、自分に都合の良いトークを展開してしまうのだ。一生の中で家の次に高いと言われる買い物という認識が欠けていたのは、お客様のみならず、売り手側もだったのだ。

極論、保険に加入してもらう事に必死で、家計全体に占める保険料支出の割合や公的と私的保障のバランス、必要保障額に見合っているかどうかまで気を回す余裕がないのだ。如何に顧客サイドに立って、ライフステージや家族構成に応じたライフプランをお聞きして、長期的、総合的に収支のバランスを崩さない範囲で様々なリスクを回避するために必要な保障額を公的部分と私的部分に区分して明確にしたうえで、同じ保障額なら少しでも低廉かつ柔軟性のある商品をピックアップして、その中から選択してもらい、更には家計改善による貯蓄習慣と資産形成に向けての投資教育と実行援助も行うなどの顧客目線とは程遠かったのだ。

そんな時に出会ったのが、FP(ファイナンシャルプランナー)資格だった。上記で述べたような顧客サイドに立って中立的な立場を保ち、保険会社に肩入れせずに最適な商品選択を提案するのみならず、家計全体の改善を皮切りに、個々や家庭の目指す方向性に寄り添いながら、収支を安定させて貯蓄を生み出し、資産形成にコツコツ取り組めるように段階を刻んだ提案ができる、お金のスペシャリストの名に相応しい資格なのだ。それ程数字に弱い方ではなくどちらかというと好きな方だった事もあり、飛び付くように資格の勉強を始めたのだ。

最初のうちは、何もかもが新鮮で長い人生を歩んで行く中で知っておいて損する事がない、逆に知らないと損するような事ばかりだと感じた。金融商品の仕組みや生損保、不動産、税金、公的保障、相続、事業承継などなど幅広い分野に亘り、人生のあらゆる段階におけるお金に関する基礎知識を学ぶAFPをベースに、更に専門的に深く広く学ぶCFPの上級資格まであり、知っている事と知らない事との差には天地の開きが出てしまうという事をまざまざと痛感したのだ。これを学び習得し、実践の場で活かしていく事ができれば、営業マンからお金のコンサルタント、ファイナンシャルプランナーとしての道が開けそうな気がしたのだ。

By hb

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