普通の社労士は、独立する前にどこかの社労士事務所に所属していたり、勤務社労士として実務経験がそれなりにあったりするものだが、既にFPで独立していた事もあり、今更そのミチの選択肢を選ぶ事は考えなかったのだ。運転免許に例えるなら、大半の人は教習所に入って一から懇切丁寧に指導を受けながら仮免許、本免許の検定試験まで行い、都道府県公安委員会での実技試験が免除され、学科試験のみ合格すれば晴れて免許証が取得できます。その一方、一部の人は教習所には通わずに自力で運転技術を身につけて、都道府県公安委員会が行う仮免許実技試験、本免許実技試験の検定試験をクリアして、最後に学科試験に合格すれば免許を取得できます。

つまり、私の場合は社労士としての実務経験は自力で身につける後者と同様のスタイルとし、FP会社とは別に個人事業として開業する事にしたのだ。実際に仕事の依頼を受けてから学び、分からない事は調べたり役所に聞いたりしながら経験を重ね身につけるしかなかったのだ。だからと言って、そのような事を敢えてクライアントに言う必要はないと考えたのだ。クライアントさんにとってはこちらが初心者かどうかは関係のない事であり、初心者という事を明かす事によってこちらの経験不足、知識不足を認めてもらう、許してもらおうと思う方がおこがましいのだ。プロとして仕事を受注する以上は、それが当たり前の世界なのだ。

かと言って知ったかぶりするのも違うと思い、兎に角法律やルールの絡む事なので、細心の注意を払う必要があるために即答しない事を意識して、基本的には確認して回答したり、業務を進めたりする事にしたのだ。そうすると、クライアントさんもキチンと対応してくれていると思ってくれるし、独立起業間もない方々ばかりだったため、余程簡単な事でない限りにおいては、そんな事も知らないのかとはならないものなのだ。そういう意味では、必死だったし、クライアントさんとなるターゲットを新規設立法人に限定した事によるマッチングが功を奏して、徐々に実務経験を身につける事もでき、何とか初心者である事による不利益を与えず、ご迷惑をかけずに済んでホッとしたものだ。

初めから完璧にできる人は居ないとは言え、初心者だからという甘えは断ち切り、それでも完璧を目指そうとする姿勢こそが独立起業においては大切な事だったのだと思う。このベストマッチングは、当時法務局にファイルが置いてあり、新規設立法人情報を閲覧する事ができたのだ。法人情報のため、個人情報の取り扱いほどの厳格さが求められるものでもなく、定期的に法務局にノートPCを持ち込んで通い、データを閲覧しながら入力蓄積してデータベースを作成し、DMを送付するというありきたりな方法ではあったのだが、毎月のように新規顧客からの問い合わせやご契約をいただく事ができ、そのお蔭で比較的短期間で社労士業務をメイン事業にする事ができたのは運が良かったとしか思えないのだ。

By hb

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