社労士業務には様々なものがありますが、労働社会保険の手続き代行や雇用と労働分野の助成金申請代行業務を請け負っていると、適正な処理が行われているかどうかの調査への立ち会いを求められることがよくあるのだ。今では社会保険の適用が段階的に拡大されてきていて、強制適用事業所に該当していながら加入していないとなると、優秀な人材の確保にも影響しますし、助成金の受給にも影響するものがありますので、ほとんど未加入の事業所に出くわすことはなくなりました。
ただ、15年以上前ぐらいというのは、まだ適用事業所であるにもかかわらず、加入を逃れている事業所や加入していても一部の希望する方しか加入させておらず、役所の強制力も行き届かないケースが多くあった。勿論、役所側は定期的な実態調査を行い、加入漏れが発覚した場合には2年間の強制遡及加入措置をするなど、厳しい対応をとってはいたのだが、発覚しないように悪知恵を働かせる事業所も、無きにしも非ずという時代だったのだ。
社労士というのは、役所への届出事務が適正に行われるために法律を学び、ルールに沿って期日までに手続きが円滑に行われるための助言や指導、代行を求められている国家資格者であるため、決して悪知恵に加担するワケにはいかないのだ。そういう意味では、社労士に業務を委託される会社というのは、そのような悪知恵のための助言指導を求めてくるというよりは、法律がコロコロ変わるのに一々アンテナを立てて対応するのは現実的ではないため、社労士を顧問として活用する方が安心で間違いが起こりにくいからというところが多い気がする。もっと言うと、人を大切にする会社は社労士を顧問に迎えるケースが多いからかどうか、キッチリ検証したワケではないが、企業の寿命がそうではない企業に比して長い傾向がある気もする。
うちは起業時より独立開業会社に特化して業務を受託してきたが、一般的には起業後10年で残っている会社は6%程度と言われる、つまり約94%が消えていくと言われるなか、これまでに関わってきたなかで倒産した会社は2社しかないことを鑑みると、とてつもない違いではないかと思う。もし就職を検討するなら、このような情報も参考にできるようにして欲しいぐらいではあるが、これに気づいている人は一般の方の中では皆無であろうことは致し方のないことだ。むしろ、そのようなことを声を大にして発信していくぐらいの気概や使命感を持つぐらいでないと、これからの時代の社労士は生き残れないのかも知れない。