FP継続教育研修は、既にAFPやCFP資格を持っている方を対象とするため、基本的にはFP資格を活かして仕事をされているプロフェッショナルな方も含まれます。資格だけをもっていて更新する為だけの方も中にはいらっしゃいますが、多くは第一線でFPとしてご活躍されている方々です。ですから、当然お金に関する情報を知りたい、相談したい、学びたいという一般の方々へのセミナーのように、基礎的な事を専門家の立場から分かり易く噛み砕いて伝えるものにはならないのだ。学校の先生が学生や生徒に教えるようなものではなく、学校の先生の為になるような知識や情報、経験などを伝える必要があり、そのニーズを満たせないと成り立たないというか、プロ目線で厳しい評価を受ける事になるのだ。
しかも、FPの分野は幅広く、金融や税金、相続、事業承継、公的保険、民間保険、リタイアメント、倫理等、参加するFPそれぞれに得意分野があり、更にその幅を広げようとされる方々に対して、研修を通してそれぞれに何らかの満足をしていただく必要があるのだ。知らなかった情報を知れたとか、曖昧だった知識が明確になったり深まったり、FPの同業者としてサービス提供方法のキッカケを掴めたとか、こんな関わり方があったのかという気づき等々、矢張り何かしら研修に参加して良かったと思っていただかない事には全く意味がないのだ。
とは言え、どのようなFP業をなさっている方々が参加されるのかを事前に知る事が出来る訳でもなく、前日を目処に参加者名とAFPかCFPかぐらいの情報しか知り得ないのだ。当日にお顔を合わせる迄、どんな方が参加されるかが分からないにもかかわらず、約半年ほど前から準備を着々と進めていく必要があるのだ。しかも、ほぼ丸1日、50分のコマを最大6コマ300分(5時間)の研修を一方的に行う為の準備は膨大なものになるのだ。情報量は勿論だが、どこまで深めていくのか、どれぐらいの知識レベルの方が参加されるか分からない為、初心者レベルから中級、上級レベルまで、幅広く対応できるように質のバリエーションも多彩に準備しておく必要があるのだ。
このようなプロ対プロの継続教育研修は、お互いの事を知らない中においても相手の事を想像しながら、相手に何を届け何を持ち帰ってもらいたいのかを創造していく準備が求められるのだ。勿論、毎回ベストを尽くす訳だが、上手く行かずに普通の評価になる事もあれば、最高評価を得られる事もあるが、最低評価を得ずに来られたのは、何とか最高のものを提供しようという意気込みや準備を怠らずに取り組んできた結果だと思いたい。いずれにしても、どんな仕事でも、プレッシャーのかかる場面があるだろうし、それがあるからこそ成長しながら相手にも価値を提供できるようになっていくものなのだろう。目の前の壁を一つ一つクリアしていくしかないのだ。穴を開けるのか、ぶち壊すのか、乗り越えるのか、遠回りするのかは、その時々の判断で行えば良いのだ。