安定した会社員とは違い、法人・個人に関わらず、自らの事業を推進するうえにおいては、基盤となる収益源が構築できるまでの間は、その日暮らしは言い過ぎまでも、浮き沈みの連続で心が休まることは皆無と言えるだろう。キャッシュが尽きれば試合終了となるが、実際は自己資金プラス借入資金の合計額が尽きればお仕舞いとなる。なので、自己資金は多いに越したことはないが、借入ができる間は借入も活用し返済の実績をつくっておくことで、将来の追加融資も受けられるための信用を築いておく方が良いものなのだ。

利息を払って借り入れた資金で、利息以上の利益率を生み出せるのであれば、自己資金のみで事業に投じるよりは遥かに資金規模のメリットを享受できるので、上手く借金を組み合わせることで事業を拡大していくのは王道でもある。ただ、利息以上の利益率に繋がらないどころか、売上以上に支払の方が上回り補填の為に借り入れていると、当たり前だがいつかは資金は尽きてしまうのだ。なので、利益を意識する事は避けられないが、利益だけを追求するのはまた少し違うので、利益は後からついてくるよう、如何に価値を提供し続けていくことができるのかにフォーカスして、顧客や社会に貢献し、結果として利益が確保できるような仕組みづくりが大切だ。

ただ、言うは易く行うは難しで、理想と現実はかけ離れていることが多いようだ。だからこそ、理想を掲げて目指し、一歩一歩段々に近づいていく努力が必要なのだ。起業間もない頃は、志高く、兎にも角にも必死に利益度外視で頑張れていたとしても、失敗ばかりが続いて、段々キャッシュが尽きてくるに従い、背に腹は代えられない状況に追い込まれることもしばしばなのだ。それでも金融機関からの借り入れができる間はまだましで、借入可能額に余裕があるうちは気軽に借りないまでも、いざという時には借りられるという最後の砦がある安心感が持てる。

ところが、最後の砦となるところにもお世話になり、もう他には頼れるところがなくなると、万事休すとなるのだ。最後の砦に手を付ける前に、何とか這い上がろうと必死に動き出す方もいれば、万事休す手前でようやくもがき始める方もいるようだが、どうも私の場合は後者のようだ。独立して20年にもなるが、今まで何度か万事休すの手前で他人様のお蔭で助けられたり、火事場の馬鹿力を出さざるを得ずに切り抜けたり、相当にしんどい思いばかりして来た気がする。サラリーマンのままだった方がどれだけ楽だっただろうと何度も考えたことがあるぐらいだ。それでも振り返って見ると、波乱万丈の浮き沈みの繰り返しではあったが、未だ頂点は経験できず底辺ばかりうろついているものの、切羽詰まった感よりは、結構それなりにそんな状況も楽しんで来た点においては、サラリーマンでは経験できなかったことが経験できて良かったと言える。

By hb

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